東大物理学科教授 山本智先生の寄稿 第六章その2

大学院生になると、上記よりももう少し支援が厚くなる。日本学生支援機構の奨学金も修士課程で月額8万8千円、博士課程で月額12万2千円となる。第二種では最大13万円の受給が可能である。修士課程の受給者の割合は第一種で35 %程度、第二種で30%程度であり、博士課程の受給者の割合は第一種で45%程度、第二種で10%程度である。なお、大学院の場合、第一種には卒業時に返済免除の制度があり、受給者の10%程度が全額免除、20%程度が半額免除となる。奨学金の受給に加えて、大学ではTA(Teaching Assistant)と言って、授業の補助を大学院生にやってもらう制度がある。たとえば、授業のレポートの採点や集計、実験の補助など、学業と密接に結びつくものも多い。時給としては1000円程度だが、やれば月に数万円の報酬が得られる。大学の研究の合間に組み入れることができるので、普通のアルバイトよりはずっと効率がよい。また、最近ではRA (Research Assistant)という制度も充実してきた。教員の研究の補助の業務として、報酬を支払うものである。実際は自分の研究そのものが教員の研究の補助となることが多いので、事実上、学生の経済支援となっている。所属する専攻によって異なるが、月に7-8万円程度が支給される。


もう少し本格的な支援としては、日本学術振興会(JSPS)が行っている特別研究員制度がある。大学院博士課程の学生が対象で、公募制である。5月ごろに研究実績や研究計画をまとめた申請書を提出し、それが審査されて採否が決まる。場合によっては面接も行われる。採択率は20%前後と厳しいが、月20万円の給与が支給されるほか、年100万円程度の研究費(科学研究費補助金)が付いてくる。ただし、研究に専念するということで、アルバイトは禁止となっている。
これらの支援を受けるとともに、少なくない人がアルバイトをして補充している。家庭教師、塾教師などが典型的といえる。ただ、大学院生になると、長期出張や実験スケジュールなどのために定期的なアルバイトが難しくなってくることもある。


このような制度は、入学するまでよくわからないことが多い。経済的な理由で進学をためらっている人がいたら、ぜひ、知り合いの大学生、大学院生に相談してみるとよい。結構、いろいろな可能性があるものである。ただし、上記の支援にはそれぞれに条件があるので、よく注意してほしい。


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