東大物理学科教授 山本智先生の寄稿 第六章その1
6.学生生活とその支援
学生生活を送る上で学費、生活費の工面は大事なことだ。両親が面倒を見てくれればよいが、自分で学費、生活費を工面しなければならないケースも珍しくない。その場合、いろいろな支援の仕組みを知り、うまく使いこなすことが必要である。そのような支援として、まず、日本学生支援機構の奨学金がある。返還免除制度のある第一種と、利子を伴う貸付の第二種がある。利子とはいっても非常に低利なので、十分検討に値する。第一種の場合、学部学生には、自宅通学で月額4万5千円、自宅外通学で月額5万1千円が支給される。学業成績や家庭の年収による審査があり、東大理学部の場合、第一種を受給している人の割合は学部生で10%程度である。一方、第二種は条件さえ満たせばほぼ確実に受給できやはり10%程度の人が受給している。第一種または第二種奨学金とアルバイトだけで学費生活費を賄うことは不可能ではなく、そのようにして頑張っている人もいる。
次に、学費免除の制度がある。学費は現在で年額70万円程度とかなり高いので、これが免除されるのは大きい。それには、家計を一にする世帯の年収の制限などがある。かなり厳しいが、該当するかどうか調べてみる価値はある。特に一人暮らしの場合は年収制限をクリアできる可能性が高い。
その他に、民間の様々な企業、団体などの奨学金の募集がある。卒業後に企業への入社を前提とするようなものから、完全に渡しきりのものまで多種多様である。女性だけを対象としたものや、外国人だけのものもある。これらは募集人員が少ないので、なかなか受給するのは難しいが、努力してみる価値はある。