東大物理学科教授 山本智先生の寄稿 第四章その1
4.学科や専門分野はどうやって決める?
理学には様々な分野がある。東大理学部では、数学科、情報学科、物理学科、天文学科、地球惑星物理学科、化学科、生物化学科、生物科学科、地球惑星環境学科がある。また、最近、生物情報学科が新設された。これらは自然科学の基礎部分をほぼカバーしている。また、それぞれに対して大学院課程がある。学科名から内容をある程度想像できるものと、そうでないものとある。ぜひ、ホームページなどを参考にして、学科の内容を調べてみるとおもしろい。案外、いろいろ気がつくところがあるだろう。
(理学系研究科・理学部のホームページは:http://www.s.u-tokyo.ac.jp/index-ja_ip.html)
理科は好きだけど、どのようにして専門分野を絞り込んで行くのか?これはたいへん大事な問題である。とくに大学受験時に学科を決める場合、その段階から自分の進む道をある程度絞りこむ必要があることになる。東大の場合は大学2年の時に進学振分けで学科が決まるので、その時点で悩むことになる。自分の興味はどこにあるのか、なにをやりたいのか、どんなことに向いているのか、よく考えることがまず肝心だと思う。
しかし、一方でそれも限界がある。いくら高校の物理が好きだと言っても、大学の物理学、ましてや物理学研究は必ずしもその延長ではない。むしろ、まったく別な世界と思った方がよい。これはすべての分野で同じだ。しかも、学問の最先端は日々進歩する。だから、自分の進むべき道の情報をできる限り集めて、それをもとに決めようとするのも限界がある。だから、今、自分が何をやりたいかを考えて、そちらの方向に恐れず進んでみよう。そうするとまた新しい世界が見え、新しい興味がわいてくる。そうしたら今度はその方向に進んでゆけばよいのだ。