東大物理学科教授 山本智先生の寄稿 最終章
8.おわりに -夢中になることの素晴らしさ-
実験を前に期待に胸を膨らませわくわくする気持ち、わからないことがあるときふっと分かる感激。これらは研究をやったことがある人だけが経験できる「high」な気持ちである。君たちも問題を解いていて結果の美しさに感動することがあるだろう。それは、点数がどうのこうのという喜びとはまったく違うものである。研究者の「high」はそれに似ている。研究は時にはうまくいかないこともある。失敗、失敗の連続もある。だけど、そういうときに支えになるのは、自分の進む道に対する確信と、それまでに何回「high」の経験を経てきたかである。だから、研究者は決して失敗や障害を苦しいとは思わない。夢中になっていることに苦しいことはないのだ。
わかることは面白い。でもわかった瞬間にそれは過去のものとなる。大事にしなければならないのは、むしろ「わからない」ことである。わからないことは素晴しい。その先には、無限の可能性があるからだ。自然に向き合う場所は大学の研究室だけではない。企業や国の研究所でも、あるいは、シンクタンクやジャーナリズムの世界でもよい。自然の不思議を見つめ、自然を相手に夢中になってみないか?そんな将来を目指す君たちを待っている。
☆主な就職先
学部卒業生
茨城県立岩瀬高校、聖光学院中・高等学校、日本コンピューターシステム、あずさ監査法人、ゴールドマンサックス、バンダイ、日揮、東洋ビジネスエンジニアリング、プリンスホテル、日亜化学工業、大阪府庁、栃木県(教員)、りそな銀行、みずほ銀行、キューピー、厚生労働省、財務省、文部科学省、三井住友銀行、日本総合研究所、マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク・ジャパン、NTT、伊藤忠商事 等
修士課程修了者
富士重工業、日立製作所、キャノン、財務省、富士通、東日本旅客鉄道、特許庁、松下電器産業、富士ゼロックス、気象庁、内閣府、日本電気、総務省、宇宙航空研究開発機構、静岡県警科学捜査研究所、アクセンチュア、P&G、東京都庁、新日鉄ソリューションズ、神奈川県職員、三共、環境省、警視庁 等
博士課程修了者
国内外の大学・公的研究機関の研究・教育職および東芝、富士写真フィルム、日本電気、富山県環境科学センター、三菱ガス化学、富士通、三共、三井化学、セントラル硝子、東レ、中央水産研究所、バイオマトリックス研究所 等